手の三陽経を図解|手関節・前腕・肘の経穴と骨度をまとめて確認
手の三陽経の全体像:手首〜肘は1.2尺
手の三陰経はすべて次の順番を通ってきています。
胸 → 腋窩横紋前端 → 上腕 → 肘窩横紋 → 前腕 → 手首 → 手指
上腕・肘が終わったのならば、前腕・手首になります。肘・前腕・手首の順で三経絡を並べるとこんな感じです。
- 手の陽明大腸経―(手首)陽渓穴→(前腕)遍歴穴・温溜穴→下簾穴→上簾穴→手三里穴→(肘)曲池穴
- 手の少陽三焦経―(手首)陽池穴→(前腕)外関穴・支溝穴→会宗穴→三陽絡穴→四トク穴→(肘)肘頭
- 手の太陽小腸経―(手首)陽谷穴→(前腕)養老穴・支正穴→(肘)小海穴
まずはこの並びを覚えましょう。前腕とは肘から手首までの間の事を指します。この前腕の経穴を求める為には、肘・手首の経穴を探らなくてはなりません。まず肘から手首までの骨度を測ります。肘窩横紋から手関節にまでの骨度は1.2尺として測ります。それぞれの手首にある陽経の経穴〜肘にある3陽経の経穴も1.2尺として測ります。
- 手の陽明大腸経では陽渓穴〜曲池穴までも同じ1.2尺
- 手の少陽三焦経でも陽池穴〜肘頭までも同じ1.2尺
- 手の太陽小腸経でも陽谷穴〜小海穴までも同じ1.2尺
これは必ず覚えましょう!これがわからなくては経穴もあったもんじゃないです。
肘関節にある三陽経の経穴(曲池穴・小海穴)
肘の三陽経の経穴のうち、手の少陽三焦経絡の経穴はないので、それ以外の2経穴を解説します。
- 手の陽明大腸経は「曲池穴」
- 手の少陽三焦経は、経穴なし(肘頭が指標)
- 手の太陽小腸経は「小海穴」

手の陽明大腸経の曲池穴―上腕骨外側上顆と尺沢穴の間、肘窩横紋の外端
尺沢穴を確認したあと、曲池穴の確認をします。尺沢穴から人差し指を肘窩横紋のしわに沿って外側に移動していきます。移動しながら親指を上に肘を曲げた体制を取ります。そのまま肘窩横紋の外端にいくと骨に当たります。これが上腕骨外側上顆です。上腕骨外側上顆を確認した後、この上腕骨外側上顆と尺沢穴の間が曲池穴になります。曲池穴が陽明大腸経の肘にある経穴になります。

手の少陽三焦経は肘には経穴がない 肘頭が指標になります
肘には、手の少陽三焦経の経穴はありません。肘頭が前腕の三焦経の尺度を測る時に重要です。しっかりとらえられるようにしましょう。
手の太陽小腸経の小海穴―肘頭と上腕骨内側上顆の間
まずは肘頭の確認をしましょう。肘を曲げると肘の後方に骨の突起がすぐ探れます。これが肘頭です。この内側に凹みがあります。これが小海穴です。またこの小海穴の凹みのさらに内側に骨が触れられます。これが上腕骨内側上顆です。この上腕骨内側上顆と肘頭の間の凹みが小海穴になります。
ちなみに手の少陰心経の少海穴は、この上腕骨の内側上顆のさらに内側にあります。つまり、上腕骨の内側上顆を境に、前にあるのが少海穴、上腕骨内側上顆と肘頭の間にあるのが小海穴です。小腸経を測る時は、この肘の小海穴と手首の陽谷穴を取穴し、その間を1.2尺として取られる事がまず大切です。
これで肘関節にある三経絡(陽明大腸経の曲池穴・少陽三焦経は肘関節に経穴はない(肘頭)・太陽小腸経は小海穴)の確認が終わりました。
手関節にある三陽経の経穴(陽渓穴・陽池穴・陽谷穴)
手関節にある3陽経の経穴は、次のとおりです。
- 陽明大腸経の陽渓穴
- 少陽三焦経の陽池穴
- 太陽小腸経の陽谷穴
すべて手関節背側後面(背側)にあることを覚えておきましょう!(ちなみに手の三陰経の太淵穴・大陵穴・神門穴は手関節掌側横紋上にあります)
陽明大腸経の陽渓穴―手関節背側横紋橈側、橈骨茎状突起の遠位・タバコ窩の陥凹部
(親指を上に向けて肘を曲げた体勢から)親指を伸展させます。そうすると手背側の手首の橈側側に凹みが見えます。これがタバコ窩です。タバコ窩にあるのが陽渓穴になります。この陽渓穴(タバコ窩)は(尺骨側)の長母指伸筋腱と(橈側)の短母指伸筋腱の間にあります。タバコ窩の奥には骨が触れられます。この骨が橈骨茎状突起になります。陽渓穴はその橈骨茎状突起の手前の凹み、つまり橈骨茎状突起の遠位部になります。
陽渓穴は曲池穴と共に前腕の手の大腸経の経穴を測る時に必ず重要になるので、しっかり取穴できるようにしましょう。
少陽三焦経の陽池穴―手関節背側横紋の中央、総指伸筋腱の尺側陥凹部
陽池穴は手背側の手首の中央にある経穴です(手関節背側横紋の中央)。手の甲を上に向けます。そこから手背側の手首の中央に指を置き、指を置いたまま、その後反対の手の人差し指・中指・薬指を伸ばしていきます。そうすると手背側の手首の中央に太い腱が探れます。この太い腱が総指伸筋腱です。その腱を親指と人差し指でしっかりつかみ確認しましょう。その尺側側(小指側)の凹みが陽池穴になります。
また、会宗穴以外の外関穴・支溝穴・三陽絡穴・四トク穴は、すべてこの総指伸筋腱と小指伸筋腱の間になるので、この触診の仕方で取穴していきます。
太陽小腸経の陽谷穴―手関節後内側、三角骨と尺骨茎状突起の間の陥凹部
小指側を前に出し、肘を曲げて取穴していきます。陽谷穴は手関節の尺側側(内側)の背中側になります。ちょうど手関節の尺側側(内側)を親指と人差し指でつまむと、親指があたる側になります。陽谷穴を捉える前に腕骨穴もついでに取穴していきましょう。
手関節上の三陽経の三経穴の解説でした。これで手関節と肘関節上の三陽経の経穴がわかりました。この間の尺度はすべて1.2尺という事を理解しておきましょう!
前腕にある手の陽明大腸経の経穴(遍歴穴・温溜穴・下簾穴・上簾穴・手三里穴)
前腕にある手の大腸経の経穴は遍歴穴・温溜穴・下簾穴・上簾穴・手三里穴の5つになります。ポイントは次のとおりです。
- すべて陽渓穴〜曲池穴までを1.2尺として測り、5つの経穴すべて陽渓穴〜曲池穴を結ぶ線上に存在することをまず覚えましょう
- 遍歴穴と温溜穴は陽渓穴〜曲池穴の線状で、陽渓穴から上3寸(遍歴穴)と上5寸(温溜穴)として取ります
- 下簾穴・上簾穴・手三里穴は陽渓穴〜曲池穴の線状で、曲池穴から下4寸(下簾穴)と下3寸(上簾穴)と下2寸(手三里穴)として取ります
- 温溜穴・下簾穴・上簾穴・手三里穴・曲池穴まではすべて長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋の間に取ります
- 取穴するときは親指を上に向けて肘を軽く曲げて取穴します
| 部位(陽渓穴〜曲池穴 1.2尺) | 経穴 | 筋肉のポイント |
|---|---|---|
| 手関節背側横紋 | 陽渓穴 | 長・短母指伸筋腱の間(タバコ窩) |
| 下9寸・上3寸 | 遍歴穴 | 長母指外転筋上 |
| 下7寸・上5寸 | 温溜穴 | 長・短橈側手根伸筋の間 |
| 下4寸・上8寸 | 下簾穴 | |
| 下3寸・上9寸 | 上簾穴 | |
| 下2寸・上1尺 | 手三里穴 | |
| 肘窩横紋 | 曲池穴 | 上腕二頭筋腱の外方陥凹部 |
遍歴穴・温溜穴の取り方(陽渓穴〜曲池穴を2分割・半分の位置から)
下簾穴・上簾穴・手三里穴の取り方(曲池穴〜陽渓穴を3分割)
前腕にある手の少陽三焦経の経穴(外関穴・支溝穴・会宗穴・三陽絡穴・四トク穴)
前腕にある手の少陽三焦経の経穴は外関穴・支溝穴・会宗穴・三陽絡穴・四トク穴にあります。ポイントは次のとおりです。
- 会宗穴以外、外関穴・支溝穴・三陽絡穴・四トク穴の4穴はすべて手関節の陽池穴から肘頭を結ぶ線上に存在する
- 会宗穴以外の4穴はすべて総指伸筋腱と小指伸筋腱の間にある
- 前腕では会宗穴のみ小指伸筋腱の内側(尺側手根伸筋腱との間)に経穴がある
- 支溝穴・会宗穴は共に手関節背側横紋から上3寸の高さになる(手の陽明大腸経の遍歴穴も同じ上3寸)
- 外関穴・支溝穴・会宗穴・三陽絡穴は手関節背側横紋から上2寸(外関穴)・上3寸(支溝穴・会宗穴)・上4寸(三陽絡穴)と並ぶ
- 四トク穴のみ肘頭から下5寸になる
- 取穴するときは、肘を曲げ手首を伸ばし手の甲を前に向く肢位で行う
| 部位(陽池穴〜肘頭 1.2尺) | 経穴 | 筋肉のポイント |
|---|---|---|
| 手関節背側横紋 | 陽池穴 | 総指伸筋腱と小指伸筋腱の間 (会宗穴のみ小指伸筋腱と尺側手根伸筋腱の間) |
| 上2寸 | 外関穴 | |
| 上3寸 | 支溝穴・会宗穴 | |
| 上4寸 | 三陽絡穴 | |
| 肘頭から下5寸 | 四トク穴 | 橈骨と尺骨の中点 |
| 肘窩横紋(肘頭) | ―(経穴なし) | ― |
前腕にある手の太陽小腸経の経穴(養老穴・支正穴)
前腕にある手の太陽小腸経の経穴は養老穴・支正穴の2穴になります。ポイントは次のとおりです。
- 陽谷穴〜小海穴までを1.2尺として測る
- 手関節背側横紋から上1寸に養老穴・上5寸に支正穴と取っていく
- 支正穴は尺側手根屈筋と尺骨との間に取る
- 小指を前に向けた肢位で取穴していく
| 部位(陽谷穴〜小海穴 1.2尺) | 経穴 | 筋肉のポイント |
|---|---|---|
| 手関節背側横紋 | 陽谷穴 | 三角骨と尺骨茎状突起の間 |
| 上1寸 | 養老穴 | 尺骨頭橈側の陥凹部 |
| 上5寸(下7寸) | 支正穴 | 尺骨内縁と尺側手根屈筋の間 |
| 肘窩横紋 | 小海穴 | 肘頭と上腕骨内側上顆の間 |
手首・前腕・肘の三陽経の経穴まとめ
手首〜肘までの手の3陽経の経穴の尺度を組み合わせるとこんな感じです。横並びは特に覚えておきましょう。
| 手首・前腕・肘の三陽経(手首〜肘 1.2尺) | 大腸経 | 三焦経 | 小腸経 |
|---|---|---|---|
| 肘窩横紋 | 曲池穴 | 肘頭 | 小海穴 |
| 下2寸・上1尺 | 手三里穴 | ||
| 下3寸・上9寸 | 上簾穴 | ||
| 下4寸・上8寸 | 下簾穴 | ||
| 下5寸・上8寸 | |||
| 下7寸・上5寸 | 温溜穴 | 支正穴 | |
| 下8寸・上4寸 | 四トク穴 | ||
| 下9寸・上3寸 | 遍歴穴 | 支溝穴・会宗穴 | |
| 下1尺・上2寸 | 三陽絡穴 | ||
| 下1尺・上1寸 | 外関穴 | 養老穴 | |
| 手関節背側横紋 | 陽渓穴 | 陽池穴 | 陽谷穴 |
- 手関節背側上に(大腸経)陽渓穴・(三焦経)陽池穴・(小腸経)陽谷穴
- 手関節の上3寸上に(大腸経)遍歴穴・(三焦経)支溝穴と会宗穴
- 手関節の上5寸上に(大腸経)温溜穴・(小腸経)支正穴
- 肘窩横紋上に(大腸経)曲池穴・(三焦経)肘頭・(小腸経)小海穴
手首〜肘までの手の三陽経の確認問題
どんな経穴が入るのか当ててみてください(複数の経穴が入る所もあります)。
問題1 マス内に経穴を入れよ
当てはまる所のみ経穴を入れてください。マスの中には経穴が1つとは限りません。また、すべてのマスに経穴が入るわけではありません。
| 手首・前腕・手の三陽経(手首〜肘1.2尺) | 大腸経 | 三焦経 | 小腸経 |
|---|---|---|---|
| 肘窩横紋 | 肘頭 | ||
| 下2寸 上1尺 | |||
| 下3寸 上9寸 | |||
| 下4寸 上8寸 | |||
| 下5寸 上8寸 | |||
| 下7寸 上5寸 | |||
| 下8寸 上4寸 | |||
| 下9寸 上3寸 | |||
| 下1尺 上2寸 | |||
| 下1尺 上1寸 | |||
| 手関節背側横紋 |
問題2 ①〜⑦の設問に該当する経穴を答えよ
- 上腕外側上顆と尺沢穴の間
- 上腕骨内側上顆と肘頭の間
- 尺骨内縁と尺側手根屈筋の間
- 長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋の間
- 総指伸筋腱と小指伸筋腱の間
- 長母指伸筋腱と短母指伸筋腱の間
- 三角骨と尺骨茎状突起の間
解答解説
問題1(解答)
| 手首・前腕・手の三陽経(手首〜肘1.2尺) | 大腸経 | 三焦経 | 小腸経 |
|---|---|---|---|
| 肘窩横紋 | 曲池穴 | 肘頭 | 小海穴 |
| 下2寸 上1尺 | 手三里穴 | ||
| 下3寸 上9寸 | 上簾穴 | ||
| 下4寸 上8寸 | 下簾穴 | ||
| 下5寸 上8寸 | 四トク穴 | ||
| 下7寸 上5寸 | 温溜穴 | 支正穴 | |
| 下8寸 上4寸 | 三陽絡穴 | ||
| 下9寸 上3寸 | 遍歴穴 | 支溝穴、会宗穴 | |
| 下1尺 上2寸 | 外関穴 | ||
| 下1尺 上1寸 | 養老穴 | ||
| 手関節背側横紋 | 陽渓穴 | 陽池穴 | 陽谷穴 |
問題2(解答)
- 上腕外側上顆と尺沢穴の間 ― 曲池穴
- 上腕骨内側上顆と肘頭の間 ― 小海穴
- 尺骨内縁と尺側手根屈筋の間 ― 支正穴
- 長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋の間 ― 温溜穴・遍歴穴・下簾穴・上簾穴・手三里穴・曲池穴
- 総指伸筋腱と小指伸筋腱の間 ― 陽池穴・外関穴・支溝穴・三陽絡穴・四トク穴
- 長母指伸筋腱と短母指伸筋腱の間 ― 陽渓穴
- 三角骨と尺骨茎状突起の間 ― 陽谷穴
手の三陰経とあわせて確認する
手の三陽経は「手先→顔」に向かって走行し、手の三陰経(手の太陰肺経・手の厥陰心包経・手の少陰心経)は「胸→手先」に向かって走行します。向きが逆になるだけで、体を一周する4経絡の流れの一部という考え方は同じです。手の三陰経の経絡・経穴・骨度(腋窩横紋前端〜手関節掌側横紋)を図と表でまとめた記事もあわせてご覧ください。
経穴を覚えるだけで終わらせないために
ここまで手の三陽経の走行・経穴・骨度を図と表、確認問題で押さえてきました。国家試験対策としてはこれで十分ですが、実際の臨床に出るとそう単純にはいきません。
鍼灸師を目指して専門学校で経絡経穴を学んでも、いざ就職してみると個人開業の鍼灸院はごくわずかで、多くの場合は鍼灸整骨院への就職になります。
そしてそこで求められるのは、鍼治療ではなく指圧・マッサージということが少なくありません。経穴の位置は正確に暗記していても、それを実際に体に当てはめて圧をかける技術は、学校では教わっていない方がほとんどです。その結果、我流でマッサージを行い、親指を痛めたり腰を痛めたりしてしまう鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師が後を絶ちません。
坂本指圧マッサージ塾では、こうした「学校では教わらない、指を痛めない指圧マッサージの技術」を、経絡経穴の知識を土台にしながらお伝えしています。これから就職を控えている専門学校生の方も、すでに現場で指や腰の痛みに悩んでいる方も、まずは無料ガイダンスで塾の雰囲気や指導内容を確認してみてください。
まとめ
手の三陽経は「手先→顔」に向かい、手関節にある陽渓穴・陽池穴・陽谷穴と、肘関節にある曲池穴・肘頭・小海穴の間が、いずれも1.2尺という骨度でつながっています。前腕にある経穴も、この1.2尺のラインを3〜4分割することで位置が求められるようになっています。まずは手関節と肘関節の経穴、そして1.2尺という骨度をしっかり押さえ、そこから前腕の経穴を一つずつ確認していきましょう。
