こんにちは、坂本指圧マッサージ塾の塾長、坂本周平です。
今回は、特に高齢者の方や整形外科的な疾患を持つ方に多い、「足を上げてもなかなか改善しない重度の浮腫(むくみ)」に対する、坂本指圧マッサージ術を用いた具体的な施術法の一例をご紹介します。
浮腫の施術は、ただ水分を流せば良いというものではありません。原因を深く突き止め、筋ポンプ作用と関節の可動域に根本からアプローチすることが極めて重要です。
浮腫の患者様の状態と根本原因の把握
浮腫の原因の特定(2つの要因)
この患者様の場合、内臓疾患がないことから、浮腫の主な原因は以下の2点にあると推測されました。
坂本式浮腫施術の改善ポイント
| ① 関節可動域の回復と柔軟性の向上 | 筋ポンプ作用の維持・向上が目的。筋萎縮に伴う**筋拘縮(コリ)**を取り除くため、足首から下の関節を他動的に動かし、筋の柔軟性を高め、血流量を増加させます。 |
|---|---|
| ② 血行が詰まりやすいポイントの的確な施術 | 血液還流量の増加が目的。膝周囲だけでなく、足の先から血液還流が滞りやすい部位を正確に把握し、そのポイントに対して的確に指圧マッサージを施します。 |
【実践】浮腫改善のための具体的な施術法と流し方
上記の改善ポイントに基づき、特に足首から下の施術を念入りに行います。
足部(足首から下)の関節を意識した施術


多くの施術家が「足関節」のみに注目しがちですが、足部には赤い線で示される部位(中足骨、足根骨など)すべてに関節があり、それぞれが複雑に連動して足の動きを作り出しています。
これらの小さな関節すべてを体表から触診で確認し、マッサージしながら可動域を広げていくことを意識します。
関節の動きを意識した施術は、筋ポンプ作用の低下を防ぐために、筋を他動的に動かすという目的に繋がります。
血行の詰まりやすいポイントと血液の流し方
浮腫の改善には血行の促進が不可欠です。下肢の血液は、以下のルートで心臓に向かって流れるイメージを持ちます。
足部で血行が滞りやすい部位(特に関節部)を念入りにほぐします。
足の浮腫を、内側側面(内くるぶしとアキレス腱の間など、静脈が体表近くを通る部位)に集めるように流していきます。
最終的に、足首より上部(膝裏などを経由)に血液を送り込むイメージで、心臓に向かって施術を行います。
まとめ:浮腫施術は「全身のつながり」と「機能回復」


坂本指圧マッサージ術における浮腫施術は、一時的な水分の排出だけでなく、「筋ポンプの回復」と「可動域の向上」という根本的な機能回復を目的としています。