一般的なマッサージは「うつ伏せ」が基本なのに、なぜ坂本指圧は「仰向け」なのか?
こんにちは。坂本指圧マッサージ塾の坂本周平です。
マッサージや指圧と聞くと、「うつ伏せ」で施術を受けるイメージが強いかもしれません。しかし、当塾でお伝えしている坂本指圧マッサージ術の基本スタイルは、あえて「仰向け(仰臥位)」が中心です。
もちろん、横向き(側臥位)やうつ伏せ(腹臥位)の施術も行いますが、大半の時間を仰向けで過ごします。これは、当塾のモットーである「指体に負担をかけず効果的な施術法」を追求した結果です。
仰向け施術には、施術者と患者様の双方にメリットをもたらす深い理由があります。今回は、その核となる考え方と、仰向けを大切にする6つの理由を詳しくご紹介します。
1. 仰向けで「大の字リラックス」姿勢が過緊張の連鎖を断ち切る
多くの現代人が無意識のうちに交感神経が優位な状態、つまり「身体の防衛反応が慢性的に続いた状態」にあります。スマホ操作時の猫背や、ストレスを感じた際の体が丸くなる姿勢が代表的です。この「身を守る姿勢」は、屈筋(身体を曲げる筋肉)を優位にし、常に筋肉を緊張させ、体力を使わせます。
施術の第一歩は、この過剰な緊張を解き放つことです。
仰向けで「大の字」になる姿勢は、交感神経の働きやすい「身体の中心に集まる姿勢」とは真逆で、副交感神経が優位になりやすくなります。
胸やお腹が広がり、手足が外側に開くことで、全身が緩みやすいリラックス状態を作り出し、その後の施術効果を最大化します。
2. 手足から施術する事で体幹が弛みやすくなる
硬く頑丈な体幹(首、肩、背中、腰)にいきなり強い圧をかけると、施術者自身の指や体に大きな負担がかかるだけでなく、凝り固まった体幹は簡単には緩みません。
坂本指圧マッサージ術では、比較的筋が細くほぐしやすい手足(上肢・下肢)から施術を始め、体幹を緩めやすくします。これは、「筋と経絡の全身的なつながり」を利用しているためです。手足の筋や経絡を刺激することで、その連動性により、結果的に最も硬い体幹部の凝りを効率よく解放します。
3. 工夫次第で前(屈筋)後(伸筋)を同時に施術できバランスを整えやすいから
仰向けは、全身の筋バランスを確認しながらアプローチするのに適しています。仰向けでは前面の屈筋にアプローチしやすいだけでなく、独自の技術を用いることで、下肢の裏側を流れる膀胱経など、通常うつ伏せで行う後面の伸筋にも施術が可能です。
これにより、屈筋と伸筋のバランスを同時に整えることが容易になり、腰痛や肩こりの根本原因にアプローチしやすくなります。
4. 身体全身に流れる12経絡の流れを掴みながら施術できるから
身体全身には12本の主要な経絡が張り巡らされており、手足の先端と体幹を結んで流れています。仰向けの状態は、上肢と下肢に流れる合計12経絡の多くを確認しやすく、これらの経絡のバランスを同時に見ながら施術するのに最適な体位です。
特に手足から施術することで、経絡の流れに沿って体幹部へと影響を与え、全身の気の流れを整えることに繋がります。
5. 重力(患者様の身体の体重を利用して)施術する事が可能になる
「指体に負担をかけない」というモットーを実現するため、施術者の力だけに頼らず、重力や患者様の体重を上手に利用します。
患者様が仰向けでリラックスした状態にあるとき、手足や肢位を工夫し、患者様自身の自重を圧に利用することで、施術者は過度な力を入れずに、効果的で深部に響く指圧を提供できます。
これは、施術者の手首や指の関節を守ることにも繋がり、長く施術家として活躍するための重要な技術です。
6. セルフケアにもつながりやすい
仰向けで「大の字」になる姿勢は、リラックス効果が高いだけでなく、患者様自身が自宅でできるセルフケアへと繋がりやすいという利点もあります。
施術中に体験した大の字リラックスの感覚や、手足から緩む感覚を自宅でも再現しやすいため、患者様は施術を受けているだけでなく、「自分の身体を総合的に判断し、ケアしていく」という意識を持ちやすくなります。これは、より良い生活を送るためのサポートとなります。
まとめ:指体に負担をかけず、効果的な施術を提供するために
坂本指圧マッサージ術が仰向け施術を基本とするのは、
という、複数の治療学的なメリットを追求した結果です。