こんにちは。坂本指圧マッサージ塾の坂本周平です。
2022年に父が倒れ、入院しました。その後の回復期に、私がマッサージを繰り返した事で、父の状態を回復させる事が出来た経験談です。どなたかのお役に立てればと思って、当時のことから振り返って書いていきます。
コロナに罹患し入院、その後、難病だと告げられる
2022年2月、父がコロナになり、肺炎を起こしたので入院に至りました。その後、1か月ほどで熱も下がり、徐々に回復傾向にあったのですが、急な発熱などの異常が起こりました。コロナ渦なので家族が直接面会することは叶わず、特段話し相手も必要以上に起きる機会もない、つまり寝たきり状態が続き、3月の間までに何度も誤嚥性肺炎を繰り返し、とうとう、食事が喉を通らなくなりました。また入院中の検査で、難病の「
多系統萎縮症」と診断され(パーキンソン病に似た症状が出てくる)、このままでは持たないと言われました。
胃ろう手術から退院後に行ったこと
胃ろう手術は延命治療の一つ?
胃ろうとは、食事が困難になった患者に栄養を与える為、お腹に穴をあけて直接、胃に食事を流し込む措置のことです。この胃ろうに至る患者様は、現在、日本では体力的に弱った患者さまに行う事が多く、延命治療としてのみ行われる事が多いです。その為、胃ろうから再び自発的に食事できる状況はほぼまれという症例になります。また胃ろうをしても多系統萎縮症ならば、突然死もありうるという覚悟してくださいという旨を伝えられました。多系統萎縮症に関しても、病院では直接的な治療は行わないとの状況でした。
足湯とマッサージをほぼ毎日続けました。これは胃ろう除去後も、ずっと継続しています。寝たきりで固まった体に対して、いきなりマッサージするのは患者本人にとっても痛みや刺激が強くなります。まず足湯をする事で、足だけでなく全身の巡りも少しはよくなり、マッサージをする際の痛みも軽減され効果も高まりやすいのです。マッサージはほぼ毎日しますが、どうしてもできないときは足湯を1日2回して、血の巡りをできるだけよくすることを心がけました。
マッサージ施術で注意したことは、退院直後は父の体力がない状態なので、強めのマッサージは控え、背中は撫でる程度にとどめ、手足のマッサージを中心に行いました。その後、体力が回復するに従って、少しずつ背中・腰などを含め、全身に対しマッサージやストレッチを行いました。
退院直後は、咳や端・微熱などを繰り返し、状態も一進一退であったので、心配な事が多かったのは事実です。この状態が退院後約2ヵ月続きました。ですが、毎日少しずつマッサージを続けると、痰の量が減ってきて熱も上がらなくなってきたのです。
賛否両論あるかもしれませんが、多系統萎縮症と診断され、誤嚥性肺炎を繰り返した状態で、胃ろう手術を受けることと引き換えに、半ば強引に退院させて良かったと思います。私自身、退院させて胃ろうを除去し、回復させる見込みは半々でしたが、上記でお話しした通り、このまま入院させても治療法はないといわれていたので、このまま面会謝絶状態で面会もできないままであるならば、一度でもいいから退院せようと決断したのです。父もビデオ通話のたびに「帰りたい」と言っていたので、退院の条件である胃ろう手術を受けました。
私は不安がありましたが、退院したからには、私のできうる限り、毎日父の回復に尽くそうと誓ったのです。結果的に、この決断と行動は、やってよかったと思っています。
塾長からの一言
父の状態を見て、回復の見込みがあると私が感じたのと、私にはある程度の医療知識とマッサージ技術があったことで、回復させることができました。しかし、それはあくまでも“可能性”であって、全てがうまくいくとは限りませんが、マッサージという技術が私に備わっていたことで、父を回復に導けたことの一端は確実に担っていると思っています。
これから親やパートナーの介護を担うこともあるかと思いますが、そのときにマッサージという技術と、ある程度の医療知識があれば、その後の支えになる可能性は高まると思っています。なぜなら私自身が体験し、父の介護とリハビリを担い、状態を回復させていっているからです。私はこの塾では仕事としてのマッサージ技術を教えるだけではなく、家族を守るためとしても活用できる技術も伝えています。